2016年04月17日

真・行・草の「真」

4月17日(日)雨のち晴れ 旧暦弥生十一日 正午の月齢9.7

今日は山地真美さんのコンサートで、表参道へ行って参りました。
雨の中、昼頃に家を出発。開場よりも早く着いたので、雨宿りを兼ね
近くの太田記念美術館で、歌川国貞展を見学。
三味線を粋に構える江戸の芸者ミュージシャンの絵姿など、多彩に楽しめました。
いつもながら、この美術館の催しに外れ無し。 

さて14時にホールが開場。Casa Mozartという、瀟洒な建物の3階にあるプチ・コンサートホールです。

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14:30頃、赤いドレス姿の山地さんご入場。開演となりました。
タイトルは「【私の作り方】〜秘密の小部屋〜 講演つきピアノコンサート」。
山地さんがどのような経歴を経て、ピアニストとして自己形成して来たか。そんな自分語りを通じ、より深く自身の音楽に触れてもらおうという趣向です。

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まず1曲めは、山地さんが小学生の頃よく弾かれたという、
ハチャトリアン「少年時代の画集」より「小さな歌」。
夢見がちな演奏と感じましたが、山地さんの評価は「シブい曲」だそうです。

それから山地さんの少女時代語り。「山のふもと」「田んぼ」「赤とんぼ」「アマガエル」といったキーワードが並びます。
また、お人形さん遊びなどはせず、「ゴジラごっこ」や「アンパンマンごっこ」にうち興じる、たいそう活発な小学生だったとか。
うん、さすがは「犬派」を自認されるだけあって、まるでワンちゃんがころげ回るような子供時代が想像されますね(失礼!)
そのせいか2曲目の「トロイメライ」は、ぼんやりとまどろむように弾く人が多いなか、
山地さんのは割と輪郭のくっきりした、比較的躍動感のある演奏と感じられました。
山地さんの夢のなかで駆け回る元気いっぱいなご自身の幼年時代の姿が、演奏に反映しているのでしょうか。

次に高校時代はドビュッシーが好きで、よく演奏されたとのこと。
そんなわけで3曲目は「月の光」。
この曲、ひそやかにゆったり演奏される方が多いように思うのですが、
山地さんのはどちらかと言うと、シャープでコントラストの効いた月影のイメージと感じました。
もしかしたらこの演奏のように山地さん、白黒のハッキリしたキャラの青春時代を過ごされたのかなと、これは僕の勝手な想像です。

さてお話は進み大学生時代。ジーンズアドバイザーを初め3つのバイトをかけ持ちしたお話などを伺います。
う〜ん、ジーンズアドバイザー… これまで似合ったためしのない僕など、一度アドバイスして頂きたいものです。
また山地さんの過去ブログにも記載のある、
「練習室事件」や「人生を変えた一冊の本」との出逢いの真相などが、
次々と明かされて行きます。
音楽に無限の可能性を感じ、就職を捨て音楽に志すと決めたこと。これに大反対する両親との「冷戦」。
そんな打ち明け話の数々のなかで最大のヤマ場が、両親や親友と別れ、新幹線で東京に旅立つシーンでした。
この時の気持ちを表現したという、まだ題名のない曲が、今日披露されました。
旅立ちへの希望を表すような明るさと、別れの切なさ、悲しさの感情とが、生地の裏表のようにぴたりと寄り添い、微妙に揺れ動きながら、推移していく。
そんな音作りのこの曲が、今日一番、僕の心に強く響きました。

その後も、山地さんの物語は続きます。
段ボール箱たった3個を携え東京へ。4人部屋での寮生活。
そんななか、あるチャンスを得てロシアへ、次いでポーランドへ。
次に演奏されたラフマニノフの「鐘」は、そのロシアで見聞した人々の厳しい生活と、そんな厳しさの中から芸術が生まれて来ることへの感慨を込めた選曲とのこと。
ドーン!ドドーン!という音から始まる激しい曲ですが、
山地さんの演奏は激情に流される態のものではなく、端正に、楷書的にまとめ上げられていたと思います。

またポーランドでのアウシュヴィッツ見学から受けた衝撃を、
次のショパン「ノクターン 遺作」の演奏で表現されました。
心の震えを示すようなトレモロが特徴的な演奏。
しかし多くの演奏家がするように、フレーズごとにゆったりと円環を描きつつ、感興に耽る態の演奏ではなく、
真っすぐに進み、ぶつかって、素直に心が震える。そんなストレートな弾きぶりではなかったかと思います。

そう。山地さんの生き方や音楽って、
たぶん草書や行書ではなく、楷書的。
真・行・草の「真」に立脚した「美」の追求になっていると、
このとき思いました。
そんな直情径行型の山地真美さんだからこそ、
先程の旅立ちの歌のように、
実体験からストレートに出てきた気持ちを音にしたときが、最も強く心を打つのでしょう。
感興よりも実感。今日のコンサートで山地さんの音楽の根源に、より深く触れることができたと思います。

さて演奏は続きます。尚美学園卒業頃から作曲を手がけ始め、
出来た曲の1つが、次に演奏された「朝の雛罌粟」とのこと。
4人部屋を出て、1人住まいに。
そんな5月、道端で見かけたひなげしの花。
「誰も見ていない所で、けなげに咲いているひなげし」。
そんなふうに補助線を引いてもらったことで、
実は僕、今まで抱いて来たこの曲への謎が解けました。
雛罌粟は、まだ無名な山地さんご自身の姿なのでしょう。
凜として可憐な花の佇まいを模したような音色もみられるけれど、そればかりではないこの曲の音色。
無限の未来を求め、新しい環境に船出する躍動感。そんな山地さんの未来への想いが、実はこの曲に込められているんだろうなと、思い至りました。

この後も、山地さんオリジナル曲の演奏が続きます。
「黒い夜」は、アウシュヴィッツでの見聞からインスパイアされて出来た曲。
戦争、そしてこのたびの熊本地震のような大災害。それによるどうしようもない憤りや悔しさ。
そんな悲惨さを忘れないために作られた作品とのこと。
音楽に無限の可能性を見いだし追究せんとする、山地さんの活動の一端を窺わせる曲です。
演奏は、闇夜の中に蠢くものを暗示するような音作り。
不協和音が醸す不安。パタリと止まり、また掻き立てる。
逡巡のようにはたと止まっては、また掻き立てる。
一体何を、暗示しているのでしょうか?

さて山地さん、作曲活動を進めるなかで、昨年頃から岡山の情景にもとづくものがどんどん増えて来ているとのこと。
作曲は自分が見たもの、感じたものの中からしか生まれない。たとえ未知の情景を描くとしても、そこには実体験から生まれた感じ方が織り合わさってくる。私は23年間を岡山で過ごしたのだから、岡山をテーマに曲を作り、演奏する人になろうと昨年決めた。
そんな決意を伺うことが出来ました。

そこで次の曲は、「桃太郎の主題による変奏曲」。
最初は軽快にテーマメロディですが、だんだん変奏曲に。だんだんフシギ化。
あれ?2月に聴いたときはこの変奏曲部分に、一部ドビュッシー的な音色を感じたんだがな?
僕の勘違い?それとも毎回密かに、少しずつ音色を変えてるとか?
う〜ん謎です(笑)

で、次なるお話はピアノについて。
ピアノは西洋起源の楽器だけど、私は日本に生まれた自分にしか出来ない音楽を、ピアノを用いて世界に発信して行きたい。
そんな希いが叶い、映画「折り紙」がカンヌ映画祭で入選!
そのテーマ曲・劇中曲として採用された、おなじみ「鶴は舞う」「裏葉柳」が、順次演奏されました。
今日の演奏では「裏葉柳」の中間部、さざ波のように揺れる部分が、特に印象的。風を感じさせてくれる演奏でした。

その後はもうひたすら、今後に向けての抱負を。
岡山の魅力を世界に発信するための新企画、行動予定がてんこもり!!
そして参加者の僕らも、宿題を頂いちゃいました。
5月いっぱいだそうです。う〜ん、山地さんのお眼鏡に叶うものが書けるかな?
そんなわけで、〆切が一つ増えてしまった(笑)。

さて盛り沢山だったレクチャーコンサートも、次でラスト。
書き切れなかった内容もいっぱいありますが、この文章を読まれた方、どうぞ次回以降のコンサートで、山地さんから直接聴き取って下さい。
ラストの曲は「桜、散る」。
切なさに裏打ちされたあでやかさ、刹那の輝きを散りばめたような趣き。そんな感じを抱きました。
僕としては、さきに掲げた別れの曲と並び、今日の演奏のなかで特に心に響く演奏でした。

一旦退場のち、盛大な拍手に再び迎えられ、
アンコールには「命はめぐる」(で、良かったかな?)。
山地さんには珍しい歌曲。でも「わたし、歌は歌えません」とのことで、ピアノで演奏です。
やさしい曲。「はにかみがちな希望とか、あこがれのような曲」。
聴いていてふと、そんな感想の言葉が浮かびました。

終了。長丁場の演奏、本当にお疲れさまでした。
後ろのドアを開け放つと、開演前の雨から一転、
外には明るく爽やかな日ざしが差しておりました。

 (ここの3階が会場です。)
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東京ではもう桜も終わり。
これから爽やかな風の吹く、青葉の季節へと向かうところです。

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posted by 弘松勘八(ひろまつかんぱち) at 19:11| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年04月04日

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浅草神社

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